離婚の慰謝料金額は、ある程度の相場はありますが、金額を決めるのには様々な要素を考慮する必要があり、単純なものではありません。ここでは、離婚のときに慰謝料を請求できるのはどのようなケースか、慰謝料の相場や算定方法について解説します。離婚での慰謝料請求を検討している場合には、ぜひ参考にしてみてください。
離婚の慰謝料請求とは
離婚の慰謝料が発生する根拠は、不倫などの離婚原因行為を理由とする精神的苦痛に基づくものと、配偶者の地位を失うことを理由とする精神的苦痛に基づくものの2つがあります(民法709条、710条)。
・民法第710条(財産以外の損害の賠償)
・民法第709条(不法行為による損害賠償)
配偶者の不法行為によって離婚に至った場合には、慰謝料を求めることができます。また、これらの慰謝料請求権は、離婚から3年でそれぞれ時効が成立するので注意しましょう。
離婚の慰謝料を請求できるケース
離婚の慰謝料を請求できるケースとしては次のようなものが挙げられます。
- 不倫が理由で離婚したケース
- DVやモラハラが原因で離婚したケース
- 悪意の遺棄が原因で離婚したケース
- 一方的な性交渉の拒否が原因で離婚したケース
離婚原因として多い「性格の不一致」を理由とする場合には、一方だけに原因があると言えませんので、それだけでは慰謝料を請求することは難しいでしょう。
不倫が理由で離婚したケース
不倫(不貞行為)は、法定の離婚原因の1つです(民法770条1号)。不倫の事実が認められれば離婚原因とも慰謝料請求の原因ともなります。
相手方が不倫の事実を認めない場合には、証拠によって不倫の事実を立証する必要があります。その際の証拠としては、ホテルに出入りする際の写真、メールやLINEのやり取りなどが挙げられます。
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DVやモラハラが原因で離婚したケース
DVやモラハラについても離婚・慰謝料請求の原因になります。DVやモラハラについては、相手方が事実を認めないケースも多く、証拠を集めいかに立証できるのかが重要です。
DVは病院での診断書や写真などが証拠となります。モラハラについては、メールやLINEのやり取り、日記の記録などが証拠として考えられます。モラハラの証拠を集めるのは難しいことも多いため、モラハラでの離婚を検討している場合には弁護士などの専門家にアドバイスを貰うことをおすすめします。
悪意の遺棄が原因で離婚したケース
悪意の遺棄とは、理由なく一方的に別居されるケースや、同居しているものの理由なく婚姻費用の分担を拒絶する、などのケースをいいます。簡単に説明すると、夫婦関係をわざと破綻させるような行為です。悪意の遺棄も裁判で離婚が認められる法定離婚事由のひとつです(民法770条1項2号)。
一方的な性交渉の拒否が原因で離婚したケース
性交渉の拒否は、いわゆるセックスレスです。病気など特別の理由がないのに性交渉を拒絶し続ける場合、離婚・慰謝料請求ができる可能性があります。ただし、性交渉を数回拒否された、お互いが望んでいない、高齢になって自然と行為がなくなった、というようなケースでは離婚原因として基本的に認められません。
性交渉の拒否は、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかがポイントです。また、性交渉の拒否で離婚する場合、高額な慰謝料となるケースは少ないでしょう。
離婚の慰謝料の相場
離婚の慰謝料については、決まった金額というものはありません。相場としても「50~300万円程度」と大きな幅があります。離婚の慰謝料の相場に幅があるのは、慰謝料の算定をするには様々な要素を総合的に考慮して決定するためです。離婚における当事者の事情は事案によって様々であり、相場も大きく異なるということもやむを得ません。
離婚の慰謝料の算定要素
離婚の慰謝料の金額を決めるには、おおよそ次のような要素を考慮します。
離婚原因全般 | 婚姻期間 子どもの有無、年齢 それぞれの経済状況 有責性の大きさ 反省、謝罪の有無 |
---|---|
不倫の場合 | 不倫が始まった時点での夫婦関係(円満だったかなど) 不倫が始まった経緯(どちらが積極的だったかなど) 配偶者と浮気相手との情交関係の内容(期間や回数など) |
DV・モラハラの場合 | DV・モラハラ行為の頻度や程度 |
このように、離婚の慰謝料は、多くの要素を総合的に考慮して決定されることになります。離婚調停や離婚裁判では、これらの事情それぞれについて主張し、証拠も提出しなければなりません。
事情を整理して主張し、証拠を提出するためには専門的知識が必要となります。お困りのこと、不安なことがある場合には、一度、弁護士までご相談ください。ネクスパート法律事務所仙台オフィスでは、離婚慰謝料の問題について無料相談を実施していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
相場以上の離婚慰謝料が認められるケースとは
一般的なケースと比べて特に酷い行為といえるようなケースでは、相場以上の慰謝料が認められる可能性があります。たとえば、不貞行為を理由として離婚するケースでは、不貞の期間や回数が著しく多いケースなどが挙げられます。
また、DVを理由として離婚するケースでは、DVの結果として重い障害を負ってしまったケースや精神疾患を抱えてしまった場合などには高額の慰謝料が認められる可能性があるでしょう。いずれにしても、離婚の慰謝料の金額は様々な要素を総合的に考慮して決定されるため、慰謝料の金額が高くなる要素が多ければ多いほど慰謝料は高額になる可能性があります。
離婚の慰謝料が認められない・金額が少なくなるケースとは
慰謝料が認められないケースとしては、離婚の原因がどちらか一方にあるとは言えないようなケースです。代表的なもので言えば、性格の不一致や病気を理由とするケースが挙げられます。
慰謝料が少なくなるケースとしても、様々な要素を総合的的に考慮して決定されるということから、慰謝料の金額が高くなる要素が少なければ慰謝料の金額は少なくなります。たとえば、不貞行為の回数が1回きりであった場合や、夫婦関係が元々悪くなっている中不貞行為をしてしまった場合などが挙げられます。
離婚・慰謝料請求を弁護士に依頼した際の費用相場は
離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼する場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。当事務所でも、離婚の慰謝料請求について無料相談を受け付けております。
実際に、離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼する場合の費用相場としては、依頼時に支払う着手金として10万円~30万円程度、相手から慰謝料の支払いを受けたときに支払う報酬金としては、慰謝料金額の10~20%程度となります。ただし、弁護士事務所によって費用は大きく異なりますので、事前に費用をしっかりと確認しておきましょう。
そのほかには、手続きの内容によって実費が発生する可能性があります。実費とは、調停や裁判のときに裁判所に納める印紙代や郵便切手代、交通費などのことをいいます。
まとめ
離婚の慰謝料を請求するための手続や金額の相場について解説しました。離婚の慰謝料は、様々な要素を総合的に判断したうえで金額が決まります。金額を増やすために有利な事情を主張し、証拠を提出するためには専門的な知識が不可欠です。
ネクスパートでは離婚慰謝料についての法律相談を初回30分無料で受け付けています。離婚の慰謝料請求の中で、不安な点、お困りごとがある場合には、気軽にご相談ください。