配偶者が浮気をしていた場合、浮気をされたことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。また、配偶者だけではなく、浮気相手に対しても慰謝料を請求したいと考える方も多いでしょう。
しかし、日常生活の中で慰謝料を請求するような機会がないため、どのように請求すべきかご存知ない方も多いと思います。そこで、ここでは浮気相手に慰謝料を請求する方法をご紹介します。慰謝料請求のために準備すべきことや、慰謝料の相場なども併せて解説しているので参考にしてみてください。
浮気相手に慰謝料を請求する方法
浮気相手に慰謝料を請求する方法は、大きく分けると3つの方法があります。それぞれの方法のメリットやデメリットを知り、請求方法について検討してみてください。
直接交渉して請求する
浮気相手に慰謝料を請求する方法は法律で決められているわけではないため、直接交渉して請求することが可能です。連絡先が分かっていれば、メールや電話で請求することができます。また、直接本人に会って交渉するという方法もあります。
直接交渉では相手に直接言いたいことを言えるというメリットがありますが、感情的になりやすく、暴言や暴力など別のトラブルに発展してしまう可能性もあるため注意が必要です。また、直接交渉のデメリットとしては、相手が本気で取り合ってくれない、連絡を無視される、などがあります。
内容証明などの書面で請求する
慰謝料の請求を書面で請求することは、一般的な方法だと言えます。書面で請求すれば、「言った・言わない」というトラブルを避けられるというメリットがあります。そして、その書面の送付には内容証明という郵便サービスが利用されることが多いです。
内容証明で送付すれば、「誰がいつ、誰に対して、どんな内容の書面を送付したのか」ということを証明することができます。そのため、相手は「そんな書類は受け取っていない」という言い逃れをすることができません。裁判になった場合にも慰謝料請求を行った証拠として提出することができます。
裁判で請求する
浮気相手に直接交渉や内容証明で慰謝料を請求したものの、話し合いが進まない場合には裁判で請求することができます。裁判で請求すれば、和解や判決など何らかの形で結果を出すことができるというメリットがあります。
浮気相手が裁判所の命令に従わない場合には、強制執行により相手の財産を差し押さえることも可能です。ただし、裁判になれば問題解決までに時間や労力もかかるため、可能な限り示談で済ませた方が良いでしょう。
慰謝料を請求するのに準備すべきこと
浮気の慰謝料を請求するには、請求前にしっかり準備を行わなければなりません。準備不足な状態で慰謝料を請求すれば、慰謝料請求に失敗してしまう恐れがあります。慰謝料請求を適切に行うためにも、次の準備を行いましょう。
浮気の証拠
まずは、慰謝料を請求することになった原因である「浮気」の証拠が必要です。法律上の浮気は「不貞行為」と呼ばれ、「配偶者以外の人と肉体関係を持つ」ことを指します。そのため、肉体関係があることを立証できるような証拠を集めましょう。浮気の証拠としては、次のようなものが有力な証拠になると言えます。
・ラブホテルに出入りしている写真
・旅行の写真
・肉体関係があることの分かるメッセージ内容
・浮気を認めるメッセージ内容
・配偶者の自白
こうした証拠がない場合でも、複数の証拠を組み合わせれば浮気を立証できることがあります。
浮気相手の身元の判明
誰か分からない相手に慰謝料を請求することはできません。そのため、浮気相手の身元の判明は必須です。内容証明で慰謝料を請求するのであれば、相手の名前と書類の送付先(自宅もしくは勤務先)の情報が必要になります。
電話番号が分かっている場合であれば、弁護士に依頼すれば電話番号から契約者の名前と住所を特定することができます。相手の情報が何もないという場合には、探偵に依頼することを検討しましょう。探偵に依頼すれば、浮気相手を尾行し、相手の名前や住所、浮気の証拠などさまざまな情報を集めてもらえます。
弁護士に相談する
浮気相手に慰謝料を請求する前に、法律の専門家である弁護士に相談してみることも大切です。法的な観点から慰謝料請求におけるアドバイスをしてくれるだけではなく、離婚を考えている場合は併せて離婚に関する相談も行えます。
慰謝料請求を弁護士に依頼すれば、慰謝料請求の書面作成や送付、相手との交渉まで全てを任せることができます。そのため、手間や負担が軽減されるだけではなく、精神的なストレスも大幅に減るでしょう。弁護士は交渉にも長けているため、ご自身で請求するよりも慰謝料金額の増額も期待できます。
浮気相手に請求できる慰謝料の相場
浮気の慰謝料は法律で決められているわけではありません。請求する側の言い値で請求することができますが、50~300万円が相場と言われています。浮気の慰謝料の金額を決める際には、さまざまな要素が考慮されます。
婚姻期間が長い場合や、子供がいる場合には慰謝料が増額される傾向にあります。また、浮気相手との交際期間が長い場合も慰謝料が高額になる可能性があります。
相手の浮気に対する積極性や、浮気発覚後の反省の態度など、様々な要因で金額が左右するため、慰謝料の詳しい相場は弁護士に聞いてみることをおすすめします。
自分で慰謝料を請求する際の注意点
ご自身で慰謝料を請求する場合には、いくつか注意したい点があります。慰謝料請求から大きなトラブルに発展しないようにするためにも、次のことに注意してください。
冷静に対処する
自分で慰謝料を請求する場合、浮気相手と直接交渉を行うことになります。相手の顔を見たり、声を聞いたりすれば、感情的になってしまうこともあるでしょう。しかし、腹が立っても暴言や暴力をふるうようなことをしてはいけません。
暴言や暴力をふるってしまえば、侮辱罪や傷害罪、暴行罪などで逆に訴えられてしまう恐れがあります。相手と交渉する際には、決して感情的にならず冷静さを保つようにしましょう。
離婚しない場合は求償権を放棄してもらう
浮気は、配偶者と浮気相手が共同で責任を負うものです。しかし、浮気相手だけが慰謝料の全額を支払えば、浮気相手は自分の責任を超えた損害賠償金を支払ったことになります。
そうすると、浮気相手は自分の責任を超えて支払った部分を、共同不法行為者である浮気をした配偶者に請求することができます。これを「求償権」と言います。
離婚しない場合は、浮気相手だけに慰謝料を請求することも多いため、浮気相手の求償権が問題になります。慰謝料の示談書を作成する際には、求償権の放棄を相手に約束してもらうようにしましょう。
まとめ
浮気相手に慰謝料を請求するには、証拠集めや相手の身元判明がポイントになってきます。慰謝料請求で失敗しないためにも、慎重に準備を行いましょう。弁護士に相談してサポートを受ければ、証拠集めや身元捜しのアドバイスも受けられます。
ご自身で慰謝料を請求すれば話し合いがスムーズに進まないことも多いので、請求手続きも含めて弁護士に依頼することをおすすめします。浮気問題を適切かつスムーズに解決するためにも、まずは相談することから始めてみてください。