不倫慰謝料請求の示談書作成を解説!

『配偶者の不倫が発覚したけど、不倫相手も不倫を認めるし、謝罪もしてもらった、慰謝料を払うと言っているし…これで解決した!』と思っていませんか?

慰謝料の金額は?支払方法は?もし支払いが滞ったら?まだまだ問題は山積みです。

示談書を取り交わすまでは、解決したとは言えないのです。

この記事では、不倫慰謝料の示談書の作成やそのメリットについてご説明します。

 

目次

不倫慰謝料の示談書

示談とは、生じたトラブルについて、裁判所の関与なく当事者または代理人によって話し合いで解決することです。

不倫慰謝料請求は、示談交渉により解決するケースが多い事案です。一方で、当事者同士の話し合いで解決したものの口約束のみで、のちにトラブルになるケースは多くあります。

ここでは、不倫慰謝料請求の示談書についてご説明します。

 

示談書とは

示談書とは、当事者間の話し合いで合意した内容を書き留めた書面のことです。

示談書の取り交わしは、トラブルの解決を意味するため和解書や合意書と呼ぶこともあります。

 

示談書の効力

示談書には、次の4つの効力があります。

トラブルの解決や合意した内容を相互に確認し、明確にする

示談書の作成は、トラブルが解決したことを確認する効力や示談書に定めた内容に合意したことを確認する効力があります。

定めた条件を履行するための手引き

示談書には、慰謝料の金額、支払方法(振込先や分割方法など)や支払期日など、履行に必要な情報を記載します。そのため、履行のための手引書としての効力を持ちます。

解決後に起こりうるトラブルの予防

示談書を作成することで、言った言わないのトラブルを防ぎます。また、接見禁止や違約金などの条件を加えることで不倫再発防止の効果を及ぼします。

証拠として、当事者を保護ないし救済する

慰謝料の支払いが滞ったり、合意内容以上の請求をされたりなど、争いが生じ裁判となった場合、合意内容を書面化していれば有効な証拠となります。

 

公正証書の作成

公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書のことです。

公正証書は、偽装や変造されるリスクが低いため、任意の書面に比べて証明力が高いと判断されます。

示談書の内容を公正証書で作成しておくと、加害者が慰謝料の支払いを怠った場合に裁判を起こすことなく差押えの手続ができます

不倫慰謝料請求の場合、慰謝料の支払方法が長期分割払いとなるときは、示談書の内容を公正証書にすると良いでしょう。

 

誓約書や念書との違い

誓約書とは、作成者が提出先に対する約束事を記載した書面です。当事者のうち一方のみの意思を記したもので、署名捺印も差し入れた側しか行いません。念書も同じです。

不倫慰謝料問題では、よく不倫相手が、今後○○(既婚の交際相手)と会ったり、連絡を取ったりしません、などといった約束事を記載して、その交際相手の配偶者に差し出します。

 

誓約書や念書は、片務契約であり、差し入れた側のみに記載した内容を履行する義務が発生します。一方で、示談書は双務契約です。当事者双方の合意と署名捺印が必要であり、当事者双方に履行する義務がある点で、誓約書(念書)とは異なります。

 

不倫慰謝料の示談書を作成するメリット

不倫慰謝料請求で示談書を作成するメリットは次の5つです。

 

示談後の言い逃れを防ぐ

不倫が発覚し、不貞相手に電話をしたり直接会ったりして不倫を問い詰めた際に、不倫相手が不倫を認め、慰謝料の支払いを約束させるケースがあります。しかし、口約束の場合、後日、約束はしていないと言い逃れされることは少なくありせん。

示談書として書面に残すことで、のちの言い逃れを防ぎます。

 

示談後の不当な追加請求を防ぐ

不倫がばれ、慰謝料を支払ったとしても、様々な理由をつけて追加請求してくるケースがあります。不倫が原因で、相手方が受けた精神的苦痛を償う必要はありますが、不当な過剰請求に応える必要はありません。

慰謝料を支払う前に、双方が納得する金額や支払方法を決めて示談書に残すことで、不当な追加請求を防ぎます。

 

示談内容に従わなかった場合の違約金が取りやすくなる

不倫発覚後、会ったり、連絡を取ったりしないといった接触禁止の約束を取り付けることはよくあります。

示談書記載の約束を破った場合は、違約金としていくら支払うといった内容を記載していると、不倫が再発覚したときに確実に請求できます。

 

不倫を原因とする離婚の場合の証拠になる

不倫が原因で離婚する場合、不倫をした配偶者に対しても慰謝料を請求できます。離婚調停や離婚裁判となった場合に、示談書を取り交わしておくと、不倫があった事実や示談の内容を示す有効な証拠となります。

 

示談後に不倫が再発覚した場合の証拠になる

1度目の不倫のときは離婚せずに夫婦関係を修復していたとしても、2度目となると精神的苦痛がさらに大きくなり、配偶者に対する慰謝料請求の増額事由となりえます。1度目の不倫の際に示談書を取り交わしていれば、不貞が継続していた事実などを示す有効な証拠となります。

 

不倫慰謝料の示談書の内容

示談書の内容は、公序良俗に反する内容や不明確な内容でない限り、基本的に双方が納得していればどんな内容でもかまいません。

ここでは、示談書の具体的な内容についてご説明します。

 

示談書の内容はどう決めるのか?

示談の内容を決めるにあたって、解決のために何を求めるのかを明確にする必要があります。

  • 謝罪
  • 慰謝料
  • 配偶者との接触禁止 など

が考えられますが、最も優先して求めたいのは何かを決めて交渉すると良いでしょう。

 

不倫慰謝料の示談書の作成の一般的な流れは次のとおりです。

一般的に不倫慰謝料請求の一番のメインは、慰謝料の金額です。まずは、金額の交渉を行う必要があります。

示談書の作成は、請求する側、される側のどちらが主導してもかまいません。

しかし、請求される側から条件を提示するのは気が引けるものです。請求する側が解決のために求める条件を提示したほうがスムーズであり、有利な記載が可能です。

 

記載する項目

示談書に記載する主な項目は次のとおりです。

不貞の事実の確認

不倫相手や配偶者に、不貞行為があったと認めさせる条項です。

誰と誰が、いつからいつまで、不貞行為をしたのかを具体的に記載すると良いでしょう。

この条項があることで、のちに不貞行為はなかったなどといった言い逃れを防ぎます。

≪記載例≫

乙は、甲に対し、●年○月から▲年△月までの間、甲の配偶者である××××と不貞関係にあったことを認める。

謝罪の条項

謝罪の条項に法的効力はありません。しかし、示談の条件として謝罪を求める場合は少なくありません。謝罪の意を表明する表現を入れても良いでしょう。

≪記載例≫

乙は、甲に対し、●年○月から▲年△月までの間、甲の配偶者である××××と不貞関係にあったことを認め、これについて深く謝罪する。

慰謝料の定め(金額、支払期限、支払方法、連帯保証人の有無など)

いくらを、いつまでに、どの方法で支払うのかを具体的に記載することで、支払方法や支払期限がわからなかったなどの言い逃れを防ぎます。

≪記載例≫

乙は、甲に対し、本件の慰謝料として金100万円の支払義務があることを認め、□年■月末日限り、一括して、甲が指定する預金口座(◇◇銀行◆◆支店 普通 1234567 ****名義)へ振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は、乙の負担とする。

不履行に関する定め(遅延損害金、期限の利益喪失)

慰謝料を分割で支払う場合は、滞納があった場合に備え、遅延損害金や期限の利益の喪失について記載すると良いでしょう。

≪記載例≫

乙が、前項の分割金の支払いを怠り、その額が★万円に達したときは、当然に同項の期限の利益を喪失する。乙が、前項の分割金の支払いを怠った場合、乙は甲に対し、残元本に対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払い済みまで年☆%の割合による遅延損害金を支払う。

求償権放棄の定め

不倫による慰謝料は、不倫をした配偶者と不倫相手の両方に支払う義務があります。

不倫相手のみに慰謝料請求し、支払ってもらう場合、のちに不貞相手から不倫をした配偶者に対して、本来配偶者も支払うべきと考えられる相当分を請求してくる可能性があります。

とくに夫婦が離婚しない場合は、夫婦の生計は同一と考えられるため、この不倫相手の求償権を放棄してもらう内容を記載すると良いでしょう。

≪記載例≫

乙は、甲に対して、乙が××××に対して有する求償権を放棄することを約束する。

誓約事項に関する定め(接触禁止条項、口外禁止条項、違約金条項など)

慰謝料の金額以外にも、次のような内容を誓約してもらう条項を記載できます。

  • 不倫関係の解消(継続の禁止)
  • 会う、電話、メールやSNSなどによるメッセージのやりとりの接触禁止
  • SNSの書き込みや第三者に話すなどによる口外の禁止
  • 付きまといや嫌がらせ行為の禁止 など

また、それらの誓約事項に反した場合の違約金の条項を記載できます。

≪記載例≫

  • 乙は、本合意以降、面会、電話、メール、LINE、SNSその他のいかなる手段によっても××××に対して接触を図ってはならず、××××から接触があったときは、一切対応しないことを約束する。
  • 甲と乙は、インターネットへの書き込み、口頭での伝達、その他いかなる手段によっても、本件に関する情報を第三者に対し口外しないことを約束する。
  • 乙が前項に違反した場合は、乙は甲に違約金として100万円支払う。

その他(公正証書作成に関する承諾条項、転居や勤務先の報告義務など)

上記に挙げた内容以外にも例えば、合意内容を公正証書にすることを相互に承諾する記載や、長期分割払いの滞納リスクを軽減させるため、住所や電話番号、勤務先が変更となる場合は報告する義務があるといった記載を盛り込んでも良いでしょう。

≪記載例≫

  • 乙が住所、携帯番号や勤務先など連絡先を変更したときは、遅滞なく甲に連絡することを約束する。
  • 甲と乙は、本合意につき、強制執行認諾約款付公正証書を作成することを承諾する。

清算条項

清算条項とは、示談書に記載された内容以外の債権債務は存在しないことを確認するためのものです。この条項があることで、慰謝料の追加請求などを防ぎます。

≪記載例≫

甲と乙との間で、本条項に定めるほか何ら債権債務がないことを相互に確認する。

示談成立日(示談書の取り交わし日)

示談が成立した日を明らかにするため必ず記載しましょう。

当事者の住所、氏名(自署)、捺印

示談書には、当事者全員の署名、捺印が必要です。

当事者以外の第三者が代筆した場合、示談書の内容は把握していなかった、勝手に作成されたなどと言い逃れをされることがあるため、必ず当事者本人に署名、捺印に応じてもらいましょう。

弁護士などの代理人を就けない場合、捺印は印鑑登録証明書を添付のうえ、実印で行うと良いでしょう。印鑑登録証明書は、原則本人しか取得できないため、言い逃れを防げます。

 

記載例

示談書の記載例は次のとおりです。

作成時の注意点

示談書作成時は、以下の点に注意する必要があります。

実現可能な内容にする

不倫慰謝料を請求する側にとっては、受けた精神的苦痛は個人差もあり、請求額が高くなることがあります。しかし、高額すぎる慰謝料を請求し、示談ができても支払ってもらえなければ意味がありません。実現可能な金額がいくらであるかを見極める必要があります。

 

相手を追い込む行為はダメ!

高額な慰謝料の要求、引越しや退職の強要などは、刑法上の強要罪や脅迫罪が成立する可能性があります。公序良俗に反する内容が記載された示談書は無効となる場合があります。

 

不倫慰謝料の示談書の作成を弁護士に依頼するメリット

不倫慰謝料請求や示談書の作成は、弁護士に依頼せず、当事者同士でもできます。しかし、実際は、多数のご依頼をいただいています。

では、弁護士に依頼するメリットは何でしょう?

示談書を自分で作成しても問題ないケース・弁護士に依頼した方がいいケース

示談書の作成を弁護士に依頼するか否かの判断は、次のように考えましょう。

自分で作成しても問題ないケース

不倫の事実や示談する条件について争いがない場合は、当事者同士で作成しても問題ないでしょう。ただし、示談書を取り交わす前に有効な示談書であるかを弁護士などの専門家に確認してもらうことをお勧めします。

費用面から、無理に当事者同士で作成するケースが見られますが、一方が納得していない状態で「サインしないと××するぞ!」などと言って強要すると脅迫になってしまい、示談そのものが無効になるため注意しましょう。

弁護士に依頼した方がいいケース

以下の場合は示談書の作成を弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

  • 不倫の事実関係に争いがある
  • 慰謝料の金額が決まらない
  • 示談の条件が多い
  • 示談した後もトラブルが予想される

 

示談書作成後、実際にトラブルが起こってしまった場合も弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

正確な示談書を作成してもらえる

インターネット上には、示談書のテンプレートが多数掲載されています。しかし、法的に不十分なものやご自身のケースに合わないものも存在します。

弁護士に依頼すれば、事案に合った有効な示談書を作成できます。

 

迅速にトラブルを解決できる

示談書の文言や条件にこだわりすぎると、解決までに時間を要します。

弁護士に依頼すれば、絶対に譲ってはいけない部分や譲歩したほうが良い部分を見極め、迅速な解決が可能です。

 

まとめ

不倫慰謝料の示談書は、当事者間で作成できます。しかし、慰謝料の回収を実現できる条項が入っていなかったり、公序良俗に反する内容があって無効となってしまったりしては、作成した意味がありません。

そのような事態にならないためにも、示談書を取り交わす前に弁護士に相談すると良いでしょう。交渉段階からのご依頼はもちろん、示談書の作成だけ、示談書の確認だけのご相談も承っております。

 

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