令和2年の全国の離婚件数は、19万3253組でした。
そのうち離婚裁判を経て、離婚が成立した件数は4287組です。離婚件数全体の約2.2%と多くはない印象です。しかし、これはその年に離婚が成立した件数です。
参考:令和2年人口動態統計 中巻 離婚 第4表 離婚件数、都道府県(特別区ー指定都市再掲)離婚の種類別|e-Stat政府統計の総合窓口
同年の離婚裁判の受件数は7651件でした。また、係属している案件が同等数あると考えられるため、実際にはもっと多くの方が離婚裁判を利用しています。
参考:人事訴訟事件の概況-令和2年1月~12月-|最高裁判所事務総局家庭局
この記事では、離婚裁判について詳しくご説明します。
離婚裁判とは
調停で離婚が成立しなかった場合、離婚裁判(訴訟)を提起し、次の内容を争います。
- 離婚可否
- 離婚条件
- 慰謝料 など
ここでは、離婚裁判についてご説明します。
離婚裁判までの流れ
日本の法律上、離婚事件については、調停手続を経なければ裁判手続が進められません。これを調停前置主義といいます(家事事件手続法第257条1項)。
離婚事件のように争う当事者が継続的で密接な関係にある場合は、法律による解決よりも双方が納得できる解決の方が望ましいと考えられるからです。
調停を申し立てることなく裁判を提起した場合は、原則的に裁判所の職権で、調停事件に付されます(家事事件手続法第257条2項)。
離婚裁判までの流れは次の図のとおりです。
離婚協議
まずは夫婦間で離婚すべきかどうか、離婚する場合の条件について話し合いましょう。
厚生労働省による人口動態統計によれば、令和2年の離婚件数19万3253件のうち協議離婚は17万0603件でした。つまり、離婚件数の約88%は協議離婚です。
参考:令和2年人口動態統計 中巻 離婚 第4表 離婚件数、都道府県(特別区ー指定都市再掲)離婚の種類別|e-Stat政府統計の総合窓口
離婚協議では、離婚理由は問われないため、どんな理由であっても夫婦が合意すれば離婚ができます。
離婚さえできれば…と十分な話し合いをせず、離婚条件が曖昧なまま離婚届を提出している人が多いと感じます。
話し合いができない場合は、親族などの第三者、または弁護士を介した交渉を検討してもよいでしょう。
離婚調停
夫婦での話し合いでまとまらない場合はもちろん、次のような場合は、離婚協議を経ずに離婚調停を申し立ててよいでしょう。
- 相手方が話し合いに全く応じない場合
- 身体的・精神的虐待などがあり離婚協議が困難な場合
令和2年の全国の離婚調停の申立件数は4万1037件でした。
参考:司法統計 令和2年 家事事件 第4表 家事調停事件の受理、既済、未済手続別事件別件件数|裁判所
離婚調停では、家庭裁判所の調停委員が夫婦それぞれから話を聞き、離婚に対する考えや希望する条件などの調整を行います。
通常、調停では夫婦が顔を合わせないよう待合室が別に用意されています。事案によっては、調停の開始前後の鉢合わせを避けるため、開始時刻や終了時刻をずらすなどの配慮もあります。
調停が成立すると、成立した内容に対する不服申し立てができません。少しでも納得できない事項がある場合は、調停が成立する前に必ず主張しましょう。
夫婦の離婚に対する考えや条件がまとまらない場合は、調停は不成立となり、原則として調停手続は終了します。ただし、例外的に裁判所が離婚相当と判断した場合は、審判に移行します。
調停の手続や進行に不安がある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
離婚裁判
離婚事件は、調停前置主義の原則があり、離婚裁判の提起ができるのは次のような場合です。
- 話し合いがまとまらず、調停が不成立となった場合
- 調停において話し合いをしたが、まとまらず調停を取り下げた場合
- 相手方が行方不明などで、調停に付すことが相当でないと認められる場合
また、離婚裁判では、民法第770条1項で定められた離婚理由がなければ離婚の訴えが認められません。離婚原因については、客観的な証拠が必要です。
さらにその証拠や主張は書面にまとめる必要があります。裁判官はそれらを確認したうえで総合的に判断し、和解の打診や判決を出します。
離婚裁判は、調停に比べて手続が煩雑なため、ほとんどの事件で弁護士が介入しています。
令和2年の全国の人事訴訟(離婚・離縁・親子関係などの訴訟事件の総称)の終結件数は8157件(うち7268件が離婚訴訟)でした。そのうち7994件は、弁護士を選任しています。
参考:司法統計 令和2年 家事事件 第65表 第一審訴訟既済事件数-事件の種類及び弁護士選任状況別-全家庭裁判所|裁判所
裁判上、離婚の訴えが認められる5つの理由
夫婦の話し合いによる場合は、理由がなくても離婚できます。
しかし、離婚裁判の場合、次の5つの理由のいずれかがなければ、離婚裁判の提起はできません。
配偶者に不貞行為があった(民法第770条1項1号)
不貞行為とは、配偶者のある者が、配偶者以外の者と自由な意思で肉体関係を結ぶこと(最判S48.11.15判決)です。
さらに離婚が認められるためには、配偶者の不貞行為により婚姻関係が破綻している必要があります。
配偶者から悪意の遺棄があった(民法第770条1項2号)
悪意の遺棄とは、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法第752条)という法律に反することです。
例えば、次のような行為が該当します。
- 配偶者が行先や理由を告げずに別居を開始した
- 配偶者により同居する居宅の鍵を勝手に換えるなどして追い出される
- 経済基盤となっている配偶者が生活費を渡さない
- 経済基盤となるはずの配偶者が身体的・精神的な理由がないのに働かない
- 家事や育児を全くしない など
配偶者の生死が3年以上明らかでない(民法第770条1項3号)
配偶者の行方がわからなくなり、生死不明の期間が3年以上続いている場合は、調停を経ずに離婚裁判の提起ができます。
ただし、配偶者の居場所や連絡先がわからないだけでなく、警察へ捜索願を出している必要があります。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない(民法第770条1項4号)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法第752条)ため、単に配偶者が精神病になっただけでは離婚できません。意思の疎通が困難な精神病にかかり、回復の見込みがないと判断される必要があります。
離婚が認められるかは、配偶者の病状により正常な夫婦生活を送ることが困難であるかどうかが基準です。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由がある(民法第770条1項5号)
民法第770条1項1号から4号には該当しないが、婚姻関係を継続しがたい重大な事由がある場合は、離婚裁判の提起ができます。
一番多い離婚理由は、性格の不一致です。
しかし、単に性格の不一致があるだけでは認められません。性格の不一致が理由で婚姻関係が破綻している状態が必要です。
その他、婚姻を継続しがたい重大な事由の例には次のようなものがあります。
- 親族との不和
- 性的不調
- アルコール・薬物依存
- 身体的・精神的虐待
- 犯罪行為 など
離婚裁判の中で争われる内容
離婚裁判では、離婚そのものだけでなく、離婚条件についても同時に決めるよう求められます。離婚条件を離婚裁判の中で付随的に判断することを付帯処分等と呼びます。
次の図は、令和2年に終結した離婚裁判7268件のうち各付帯処分等の申立が何件あったかを表しています。
参考:人事訴訟事件の概況-令和2年1月~12月-|最高裁判所事務総局家庭局
また、これらの付帯処分等のほか、離婚に伴う慰謝料請求についても併せて提起できます。
離婚裁判で争われる内容について、以下でご説明します。
離婚するかどうか
夫婦の一方が離婚したいと思っても、もう一方が離婚したくない場合は、協議や調停で話し合いをしても平行線のまま解決できません。
よって、離婚裁判で、裁判官により離婚が相当かどうかを判断してもらいます。
なお、離婚裁判では有責配偶者(例えば、不貞行為をした方の配偶者など)からの離婚請求は認められにくい傾向です。
例えば、不貞相手と再婚したいと思っても、配偶者が離婚を望んでいなければ、基本的に離婚は認められません。ただし、別居期間が相当程度長期にわたっているなどの事情があれば、離婚できる可能性があります。
親権を誰が持つか
夫婦が離婚自体に合意していても、離婚条件が折り合わなければ裁判までもつれます。
特に親権者の指定に争いがある場合は、裁判までかかると見込んで良いでしょう。
上の図からもわかるように離婚裁判のうち6割以上が親権を争っています。
夫婦の間に未成年の子がいる場合は、親権者の指定の申し立てがなくても裁判所が職権で定めます。しかし、実務上は、親権者を自分に指定するよう申し立てることが多いです。
親権について詳しく知りたい方はこちらのページも参考にしてみてください。
知っているようで実は知らない離婚に伴う親権について|ネクスパート法律事務所仙台オフィス
養育費の金額
養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用のことで、子どもと離れて暮らす親が支払うものです。
親権者の指定に次いで2番目に争われている内容です。
養育費の金額は、裁判所が採用している算定表をもとに決めます。
参考:平成30年度司法研究(養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所
この算定表は、権利者(もらう側)、義務者(支払う側)の収入や子の人数、年齢に応じて、標準的な金額を算出しています。
財産分与の内容
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して得た財産を離婚の際に分けることです。
財産分与の割合は、2分の1が一般的です。
この割合で納得いかない場合や、夫婦の一方が財産の開示に従わない場合に離婚裁判で争います。
具体的には次の内容が争われます。
- 共有財産を確定するための基準時の特定
- 夫婦それぞれの名義の財産の開示と整理
(非開示の財産や隠ぺいの可能性がある場合は調査嘱託などによる財産調査を行うこともあります)
- 特有財産と共有財産の整理
- 財産の取得や維持に対する夫婦それぞれの貢献度 など
財産分与について詳しく知りたい方はこちらのページも参考にしてみてください。
離婚における財産分与とは|ネクスパート法律事務所仙台オフィス
年金分割の内容
年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれの年金とする制度です。
夫婦がお互い会社員で年金分割をするか意見が分かれている場合に争います。
判決により年金分割の判断がされる場合は、按分割合は2分の1ずつとなります。
面会交流の有無・頻度
面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が、子どもと定期的かつ継続的に会って話したり、遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することです。
面会交流は、次のような事情がない限りは基本的に拒絶できません。
- 子どもやその監護者がDVをふるわれていた
- 面会交流が子どもにとって悪影響を与える可能性がある
- 子ども自身が面会交流を拒否している
- 子どもの連れ去りの恐れがある
面会交流の頻度としては、月に1回程度が一般的ですが、子や夫婦の事情によって様々です。
1回の面会交流の内容も、子の年齢などによって公園で数時間遊ぶなどの内容から宿泊をともなう内容まで様々です。
子の引渡しと子の監護者の指定
子の監護者指定は、夫婦の別居後、子どもと同居している親が子の監護者として適任でないと考える場合に申し立てます。
裁判所の手続き上、子の監護者の指定と子の引渡しは別扱いとされているため、同時に申し立てるのが一般的です。
離婚前に子の監護者に指定されると、親権も得やすくなります。
なお、日本の法律上、親権から監護権を分離できるため、親権者の指定がなされた後でも監護者と指定されることがあります。
慰謝料の金額
通常、慰謝料請求は簡易裁判所や地方裁判所に提起します。しかし、離婚に伴う慰謝料請求の場合は、離婚訴訟と併せて家庭裁判所に提起できます。
離婚に伴う慰謝料請求は次のような事情がある場合にできます。
- 不貞行為による精神的苦痛を受けた場合
- 精神的・身体的虐待があった場合
- 婚姻生活の維持への不協力や性交渉の拒否などにより精神的苦痛を受けた場合
離婚裁判のメリットとデメリット
次に、離婚裁判のメリットとデメリットについてご説明します。
離婚裁判のメリット
離婚裁判の大きなメリットは次の2つです。
相手方が話合いに応じない場合でも解決できる
裁判所に離婚が相当と認められれば、一方の配偶者の同意がなくても判決離婚ができます。
裁判上の和解や判決には法的な強制力がある
養育費、財産分与、慰謝料の離婚条件が記載された判決には強制力があります。相手方の支払いが滞った場合に、差押の手続ができます。
裁判上の和解離婚の場合も同様です。
離婚裁判のデメリット
離婚裁判のデメリットは次の4つです。
費用と時間がかかる
離婚裁判となると大半は弁護士に依頼するため、弁護士費用の負担が大きいでしょう。
また、離婚裁判の平均審理期間は14.2ヶ月です。早ければ3ヶ月以内に解決することもありますが、大半は半年から2年以内の期間を要します。
離婚調停の平均審理期間の6.7ヶ月と合わせると終結まで平均で約1年7ヶ月はかかるということです。
参考:人事訴訟事件の概況-令和2年1月~12月-|最高裁判所事務総局家庭局
参考:司法統計 令和2年 家事事件 第63表 第一審訴訟既済事件数-事件の種類及び審理期間別-全家庭裁判所|裁判所
参考:司法統計 令和2年 家事事件 第5表家事審判・調停事件の審理期間別既済、未済件数|裁判所
精神的負担がかかる
相手方から非難されたり、時には虚偽の内容が主張されることもあります。
また、離婚裁判では証拠の提出が重要です。離婚原因となった辛い過去を思い起こすことにも繋がり、長期にわたり強い精神的負担がかかります。
離婚裁判は公開裁判で行われる
離婚裁判の口頭弁論期日は公開裁判で行われるため、不特定多数の人が自由に傍聴できます。弁護士が介入していれば、基本的に事前に書面をとおして主張立証がなされ、詳細な内容を期日内では話しませんが、少なからずプライベートな事情が傍聴人に知られる可能性があります。
判決には法的な強制力がある
自身の意に反して不利な判決が言い渡されることもあります。
しかし、判決が確定すると強制力が生じるため従わなければなりません。
離婚裁判の流れ
ここでは、離婚裁判の提起から離婚届の提出までの流れについてご説明します。
離婚事件の訴訟提起
まずは離婚裁判の申し立て方法についてご説明します。
訴状の提出先(管轄)
離婚調停の場合、事前に夫婦で決めた家庭裁判所がないときは、相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てます。
しかし、離婚裁判の場合は、夫または妻の住所地の家庭裁判所のどちらでも可能です。ただし、調停を行った家庭裁判所と異なる場合は、調停を行った家庭裁判所で離婚裁判をすることもあります。
裁判費用
離婚裁判では、印紙代と郵便切手代がかかります。
- 印紙代
裁判所に納める手数料です。請求する内容によって異なります。
印紙代の求め方は次のとおりです。
- 郵便切手代
裁判所から原告被告それぞれに書面を送付する際の郵送代として使用されます。
裁判所によって総額と内訳が異なります。
例えば仙台家庭裁判所の場合は、次のとおりです(令和2年4月20日改訂版)。
必要書類
離婚裁判の提起には、次の書類が必要です(裁判所によって異なる場合があります)。
- 訴状(正本1通・副本1通)
(正本は裁判所用、副本は相手方用です。副本は、正本のコピーでかまいません。)
- 夫婦の戸籍謄本(原本1通)
- 離婚調停不成立証明書(原本1通)
- (年金分割の申し立てをする場合)年金分割のための情報通知書(原本1通・写し1通)
- (養育費や財産分与の申し立てをする場合)源泉徴収票や給与明細、預金通帳などの写し(正本・副本各1通)
- その他証拠等(正本・副本各1通)
足りない書類などは、適宜裁判所から提出の要請があります。
裁判期日の流れ
訴訟法において、裁判官や当事者などの訴訟関係人が裁判所に出頭するなどして訴訟手続を進行するために指定された日時のことを期日と呼びます。裁判期日には次のようなものがあります。
- 口頭弁論期日
- 弁論準備手続期日
- 和解期日
- 尋問期日
- 判決言渡期日
離婚裁判の流れは次のとおりです。
訴訟提起から第1回口頭弁論期日まで
①家庭裁判所に訴状などを提出します
裁判所へ訴状を提出することで、裁判が提起されます。
訴状を提出した側が原告、提出された側が被告です。
②家庭裁判所から第1回口頭弁論期日呼出状などが送付されます
③被告が訴状に対する反論などをまとめた答弁書を提出します
被告は、答弁書を提出すれば、第1回口頭弁論期日に限り欠席できます。
初回の期日は、被告の意向を確認することなく原告と裁判所の都合で日時が指定されるためです。欠席しても答弁書を陳述した扱いになります(擬制陳述といいます)。
しかし、答弁書を提出せずに欠席すると、原告の言い分をすべて認めたことになり、判決が出されます。
④家庭裁判所において第1回口頭弁論期日が開かれます
原告被告またはそれぞれの訴訟代理人が、公開法廷にて裁判官の前で主張立証を行います。ただし、基本的に事前に書面を提出しているため、期日では裁判官が書面に対する疑問点などを双方に確認する程度で10分もかからずに終わることが多いです。
第1回口頭弁論期日終了後から争点整理まで
第2回期日以降は、法廷での口頭弁論ではなく、準備手続室という小さな会議室のような部屋での弁論準備手続となることが多いです。
弁論準備手続期日では、裁判官と原告被告またはそれぞれの訴訟代理人が、争点や今後の進行について話し合います。
通常、原告と被告が1期日ごとに交互に主張立証が尽きるまで行います。そのためこの期間が長いほど、裁判が長引きます。
争点整理から尋問期日まで
弁論準備期日での話し合いにより争点整理がなされ、裁判官が和解の成立が見込めると判断した場合は、和解案が提示されます。
原告と被告の双方が和解案に合意した場合は、和解期日が開かれ、合意内容を確認して和解が成立します。
和解が見込めない場合や、どちらか一方が和解案に応じられない場合は、尋問手続の準備に入ります。
原告と被告は、それぞれ結婚生活や離婚に至る経緯などをまとめた陳述書を作成します。
尋問期日から判決言渡期日まで
尋問期日は、公開の法廷で行われます。
基本的に主尋問は、事前に作成した陳述書に沿って行いますが、反対尋問は何が質問されるか分かりません。不利な発言を控えるためにも、尋問手続を行う場合は事前に弁護士と綿密な打ち合わせを行いましょう。
尋問期日が終わると、数ヶ月後に判決言渡期日が指定され、裁判官が判決を言い渡します。
証拠の有無の重要性
離婚ができるか、さらにより良い条件で離婚できるかは、主張を裏付ける証拠が重要です。
例えば、不貞慰謝料が争点となっている場合、証拠により不貞行為の事実を示さなければ慰謝料請求が認められません。
離婚裁判による解決
裁判離婚による解決の種類は次の3つがあります。
和解
争点整理がなされた後、裁判官から和解を提示されることがあります。その和解案に夫婦が合意すると、和解による離婚が成立します。
認諾
認諾とは、離婚裁判を提起された側が提起した側の離婚請求を全面的に受け入れ離婚が成立することです。
しかし、認諾による離婚が成立することはほとんどありません。
判決
和解ができない場合は、尋問を実施し、裁判官が離婚の可否や離婚条件を判断し判決を言い渡します。
判決正本を受け取った翌日から2週間以内に夫婦のどちらも控訴提起しない場合は、判決が確定し、判決による離婚が成立します。
判決に不服がある場合
判決の内容に不服がある場合は、判決正本を受領した翌日から2週間以内に控訴提起をします。
控訴状は、判決を言い渡した家庭裁判所に提出します。その後、高等裁判所へ書類が送られ、再審理されます。
離婚届の提出
離婚が成立したら、10日以内に次の書類を届出人の本籍地または所在地の市区町村役場へ提出します。
- 離婚届
- (判決離婚の場合)判決謄本及び確定証明書
- (和解離婚の場合)和解調書謄本
- (認諾離婚の場合)認諾調書謄本
- (本籍地と異なる市区町村役場へ提出する場合)戸籍謄本
婚姻中に相手の氏を使用していた方は、離婚すると原則として婚姻前の氏に戻ります。
離婚後も婚姻中の氏を使い続ける場合は、離婚成立から3ヶ月以内に婚氏続称の届出をする必要があります。
また、婚姻中の戸籍から抜ける側が子の親権者となった場合でも、手続きをしなければ子の氏や戸籍はそのままです。子の氏や戸籍を親権者と同じにするには、別途家庭裁判所へ子の氏の変更許可の申し立てをしなければなりません。
ネクスパート法律事務所仙台オフィスの料金表|離婚裁判の費用
ネクスパート法律事務所仙台オフィスにご依頼された場合の弁護士費用は、「弁護士費用」のページをご参照ください。
まとめ
離婚協議や離婚調停での話し合いがうまくいかない場合は、離婚裁判をする必要があります。しかし、離婚裁判は、時間と費用がかかります。
離婚裁判について弁護士に依頼するメリットは次の5つです。
- 主張を整理しスムーズな進行ができる
- 裁判例に基づいた客観的な解決ができる
- 不用意な主張で不利になることを防げる
- 離婚理由や証拠収集についてアドバイスがもらえる
- 煩雑な裁判手続きを任せられる
納得のいく解決のためにも、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。