離婚の慰謝料に税金はかかる?

離婚の慰謝料に税金はかかるのでしょうか。離婚の際に慰謝料の支払いを受けても、税金が発生するのであれば、税金の金額なども考慮したうえで使い道を考える必要があります。結論から言いますと、原則として、離婚の慰謝料に税金はかかりません。しかし、具体的な事実関係によっては例外的に税金がかかることもあります。

そこで、この記事では、離婚の慰謝料に税金がかからない理由について解説したうえで、例外的に税金がかかるケースとしてはどのようなものがあるのかについても解説します。離婚で慰謝料のやり取りが発生する方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

離婚の慰謝料に税金は原則かからない

離婚の慰謝料は、相手の精神的苦痛に対する賠償金という性質を有するものです。そのため、離婚の慰謝料には原則として所得税などの税金はかかりません。

離婚の慰謝料は、精神的苦痛を補填するものであり、利益を与えるものではないため、税金は発生しないのです。逆を言えば、離婚の慰謝料という名目であったとしても、相手に不当に利益を与えるようなものであれば、税金がかかることになります。

離婚の慰謝料に税金がかかるケースとは

では、実際に離婚の慰謝料に税金がかかるケースとしてはどのようなケースがあるのでしょうか。ここでは、離婚の慰謝料に税金がかかる5つのケースについて解説します。

慰謝料が高額すぎる場合

離婚の慰謝料が相場を超えて高額すぎる場合には、所得税や贈与税などの税金がかかることがあります。離婚の際に支払われる慰謝料の相場としては、事案によって異なりますが50〜300万円程です。

高額な慰謝料が発生する特別の事情がないにもかかわらず、慰謝料として500万円や1000万円という金額を受け取った場合には、税金がかかる可能性が高いでしょう。慰謝料の金額は、相場を大きく超えることがないようにしなくてはなりません。

慰謝料として不動産を受け取る場合

慰謝料として、金銭の代わりに不動産を受け取る場合には税金がかかるケースが多いです。この場合、不動産の時価額を基準として、慰謝料の金額が過大とならないかを判断することになりますが、時価額が300万円程度に収まる不動産は少なく、ほとんどの不動産は慰謝料として過大なものと判断されるでしょう。

その場合、妥当な慰謝料の金額を超える分について贈与税がかかります。さらに、不動産所得税、登録免許税もかかりますし、不動産取得後は、毎年固定資産税を負担し続けることになります。

慰謝料として受け取ったことを証明できない場合

慰謝料としてお金を受け取った場合であっても、書面などがなくそれが慰謝料であることの証明ができないときには、贈与税が課される可能性があります。高額のお金を受け取っても贈与税が課されないのは、それが慰謝料であるからです。そのため、受け取ったお金が慰謝料であるということについては、いつでも証明できる状態にしておく必要があります。

具体的には、慰謝料の支払を受ける場合には、口約束だけでなく、慰謝料以外の条件も記載した離婚協議書や公正証書を作成するようにしましょう。特に、公正証書は、公証人が作成する公的な文書なので、そこに慰謝料の金額や支払日などを記載しておくことで、受け取った金銭が慰謝料であることを示す証拠としては強力なものとなります。

贈与税や相続税を免れるために離婚した場合

離婚が真意に基づくものでなく、贈与税や相続税を免れるためにされたものであった場合、すなわち偽装離婚であった場合には、慰謝料の支払ではなく金銭の贈与として贈与税が課されます。

贈与税や将来的な相続税の支払いを免れるために偽装離婚するケースも見られますが、発覚すると余分に税金が発生することにもなりますし、偽装離婚は絶対に行ってはいけません。

本人以外が慰謝料を支払った場合

本人に支払能力がないなどの事情により、本人以外が慰謝料を支払った場合にも税金がかかる可能性があります。そのため、本人の親の口座からの振込で慰謝料を受け取るなどした場合は注意が必要です。

本人が親などからお金を借りて、慰謝料を支払う場合でも、貸主からではなく、本人の口座から振り込むようにしなければ、本人以外が慰謝料を支払ったと認定されてしまう可能性があります。本人以外からお金を受け取った場合には、贈与を受けたものとみなされて贈与税がかかります。

離婚の慰謝料を支払う側に税金がかかるケース

慰謝料が高額であった場合など、慰謝料を受け取る側に税金がかかるケースであっても、慰謝料を支払う側に税金がかかることはほとんどありません。なぜなら、贈与税は、財産の贈与を受けた側が支払うもので、贈与した側が負担するものではないからです。

ただし、慰謝料を金銭ではなく不動産で支払った場合には、譲渡所得税がかかる場合があります。慰謝料を金銭でなく不動産で支払うと、受け取る側だけでなく支払う側にも税金がかかる可能性があるため、慰謝料の支払は、あくまで現金で行うべきです。不動産の処分については、慰謝料ではなく、財産分与として行うことをおすすめします。

離婚後の養育費に税金はかかる?

養育費は、子どもの扶養に必要なものであるため、養育費についても原則として税金はかかりません。ただし、養育費の名目であっても、子どもの扶養に必要な範囲を超えた過大な養育費については、例外的に税金がかかるケースもあるので注意が必要です。

また、離婚時に養育費を一括払いするというような場合にも、高額な支払となるために、贈与税がかかる可能性があります。そのため、養育費は、基本的には毎月一定額を分割で受け取るという方法を採用すべきです。

まとめ

離婚の慰謝料に税金はかかるのかについて解説しました。通常の手続きに沿って離婚の合意がされ、それに基づいて慰謝料が支払われた場合には、原則として慰謝料に税金はかかりません。ただし、弁護士など専門家のアドバイスを受けることなく、自分たちの都合で慰謝料の金額や支払方法を決めた場合には、予想もしていなかった税金が発生することがあります。

一度、税金が発生してしまうと、それを取り消すことはできません。離婚の慰謝料について、税金が発生するのか不安のある方は、弁護士に相談することをおすすめします。ネクスパート法律事務所仙台オフィスでは、無料での法律相談もお受けしておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。

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